赤加賀と視覚のしょうがいに関する小説アンソロジーです。見ること、見えかた、あるいは目そのもの――参加者のみなさまにお寄せいただいたご作品はどちらもテーマに関して正面から問いかけるものばかりです。赤城さんと加賀さんのやりとりやかれらを取り巻く世界と共に、見えないものの世界に潜ってみませんか?
A5並製2段組104ページ 小説5作品掲載
作品紹介
上涙点より藍を込めて
フェリコランタンさん
ある晩、突然の頭痛を訴えて病院に運ばれた赤城。つきそった加賀は、医師から、それが「緑内障」によるものだと告げられる。宿舎の廊下にうずくまってのたうち苦しんでいた赤城が、一瞬だけ見せた濁った瞳――それを思い出しながら、また仲間たちの心配をも背負いながら、加賀は赤城を迎えに病院におもむく。
* 清濁の物語
全てを望み、全てを耐える。
もぐらさん
鎮守府「甲」と名付けられた艦娘たちの晴れ舞台。そこに配属された赤城は、艦娘であるにもかかわらず、例外的に20年以上の長きに渡って生き残り続けているという“死神”――加賀に出会う。長い時間の末、目もほとんど見えなくなっている加賀を前に、赤城はなぜ彼女がそのような道を選んだのかを問いかける。
* 濃淡の物語
目玉がニョキニョキ生えてくるんだ
Яさん
加賀が目を負傷した――たまたまといえばたまたま、その前の晩に加賀の目がきれいだという話をしていた赤城は、あまりの偶然を怨む。無くなったら生やせば良いとは聞くものの、はたして本当に生えてくるのだろうか? 加賀の傷が治るまでしっかり支えよう。決意だけは固い赤城だったが、日頃のずぼらさまでは治らない。
* 明暗の物語
グリザイユの海
深紅香奈さん
病の進行には逆らえず、もはやほとんど物の形程度しか判別できなくなってしまった加賀。赤城らの手助けを借りつつ過ごしてきたが、ついに提督に病状の真相が伝わってしまう。勧められる手術を頑なに拒み、それを受けるよりは――“解体”を進んで受ける加賀にとって、眼とはいったいどのようなものであるのだろうか。
* 色彩の物語
晴眼の海
大笠ゆかりさん
海は、青い?――色覚特性のために一部の色が見分けづらい赤城は、問いかける。冬が近づき、昼間の明るさも徐々に穏やかになっていくある日のこと、南方にひとり派遣されていった加賀を懐かしく思い出す赤城の目に映る海は、きらきらと波間に光を輝かせている。
* 寒暖の物語
謝辞
本アンソロジーの制作にあたって、もぐらさん(pixiv/36772986)にネタ出し、タイトル提案、表紙デザイン等、企画の立ち上げ段階からご協力をいただいたことでした。さらに、掲載作「上涙点より藍を込めて」(表題作)と「晴眼の海」は、どちらももぐらさんにつけていただいたタイトルです。改めて深く御礼申し上げます。
5名の方から素晴らしいご作品をお預かりしました。参加していただいた方、手に取っていただいた方へも改めて深く御礼を申し上げます。
更新情報
- 2020年7月11日 タイトル決定
- 2020年7月14日 参加登録開始
- 2020年9月9日 投稿締切
- 2020年10月25日 発行
- 2020年10月25日 砲雷撃戦・軍令部酒保令和2年秋合同演習にて頒布
- 2021年1月24日 通販終了